以前、実験用に安いDDCの記事を書いたのだけど、その製品が終了してしまったようなので、2017年6月現在買えるものを再レポートします。
中華で買える安いものは、ミドルレンジや型落ちのチップを使ってることが多い。ただ、ほとんどの製品で、PCM384KHz、DSD256が通るので、一般の需要としては十分。むしろ割安感から、コスパは高い。
その前にDDCとは
ハイレゾで音楽を聴くのに、手軽なUSB-DAC。例えば、そのUSB-DACを構成するユニットの一つとしてDDCが入っています。
DDCとは、デジタル信号を別のデジタル信号に変換するユニットです。
図に書くところのDACユニットには、その機能のほとんどを担うDAC用のチップが搭載されています。そのDACチップの入力インタフェースとしてI2Sが一般的となっており、USBで送られるデジタル信号を、I2Sに変換するDDCが必要となります。
ちなみに、DDCはデジタル・デジタルコンバータ、DACはデジタル・アナログコンバータと、そのままです。(´・ω・`)
DDCはI2Sに変換することだけを言うわけではありません。例えば、S/PDIFに変換するパターンもあり、光デジタルや同軸デジタルとして、据え置きのDACやアンプに接続する楽しみ方もあります。
また、流行りのラズベリーパイは、GPIOからI2S信号を出力できるので、DDC不要でDACに接続できることから、ハイレゾ再生マシンとして重宝されています。※1
※1 ラズパイのI2Sはマスタクロックが無いことやDSDを扱えない問題があります。
当然DDCへUSB接続することで音楽を楽しむ使い方も一般的です。その場合は、柔軟にDSD音源も扱えます。
例によってAliexpress
ほんと、たまにAliexpress物色するのは楽しい。今回は、以前紹介したものの変わりを探すということで、安いXMOS を探します。
今回は、検索している中でも値段のこなれていた、「XU208 XMOS USB card interface U8」を発注することにしました。
複数のショップが扱っていましたが、その中でも購入時点で一番安かった、
ショップ 「Breeze Audio」さんの、「XU208 XMOS USB card interface U8 upgrade / DAC」を選択しました。
クロックをSITIMEと言われる、シリコンでできたMEMS発振器が搭載されているバージョンを選ぶことができました。条件にもよりますが、クリスタルより対ジッタ性能が良いそうです。SITIME版が、34.96ドル、通常クリスタルクロック版は、31.83ドル。(5%引きのタイミングで)
デジタル音楽って、クロック命といっても過言では無いので、SITIME版にしてみました。写真、黒い2つのモノリスがSITIME。見せられなくて、塗りつぶしたわけじゃない。(´・ω・`)
発注から到着まで、8日。(早い)。玄関手渡し、受取サイン要。
梱包も、問題なし。
ドライバが無い
ああ、ドライバCDがついてない。たしかに、ページに同梱品の記述はないけど。。。
困るのはWindowsで使うとき。
が、しかし!!! Windows10最新だと困らなくなったのだ。USB AUDIO CLASS 2.0が標準サポートされるようになったから。(そのこと書いた記事はこちら)
きたきた。これでも使えるはず。やっぱ、DFUが残るけど、なにこれ。
ちなみに、ショップにメッセージで「ドライバ欲しい」と言えば、baiduのネットドライブのURLか、メールで送ってもらえます。ネットドライブはアプリインストールを要求されるので避けました。捨てメールアドレスをショップに伝えて、送付してもらいました。(営業時間内なら、レスポンス早い印象)
ただ、もらえるドライバのバージョンは古く、v2.19.0(2012)でした。
このバージョンでも問題無いのですが、私、これより新しいバージョン持ってるので、ご所望であれば、問い合わせフォームで個別に聞いてください。(ページに貼り付けていいもんだか、わからないので。。)
同じ意味合いで、別のXMOS U8のドライバがすでにPCに入っていれば、それで認識してしまうと思います。(ベンダーとか関係なく使えるのがちょっと不思議だけど)
この記事での検証では、このショップにもらったドライバを入れます。
ピン立てる
DACと接続するための、ピンを立てる。
「ああ、信号名が全部プリントされていない」
しかも、いつもの5ピン配置じゃない。うーーむ、GNDだけわかれば、残りは総当りで良いか!と、つきすすむ。
結果的に判明したピン配置を先に書いておきます。
I2Sとしては、オレンジのところ使えば、OK。
DSDピンは、DSDを扱ってるとき、3.3Vが出力されました。DAC側で必要であれば、繋げばよいかと思います。LEDと抵抗繋いで、DSDモニタLEDにもできますね。
ついでに、電源モニタLED、押し込んだ。(´・ω・`)
DACと接続
DACとI2S信号線をジャンパで接続します。
今回テストで繋いだのは、以前、Aliexpressで購入した、ES9018K2MのDACボード。(その記事は、こちら)
同じ信号線を接続するだけ。
ピン配置にDSDの信号線があるために、HXコネクタ使えないね(´・ω・`)
さて、音出し(foobar2000)
foobar(v1.3.15)使います。
・コンポーネントの状況
・Deviceは、DSD,ASIOのインストールしたドライバ
普通に鳴りました。
一点、このDDCのサポートレート、ショップのページによると
- PCM:44.1KHz,48KHz,88.2KHz,96KHz,176.4KHz,192KHz,352.8KHz,384KHz (I2S out supports all sampling rate, S/PDIF supports up to 192Khz)
- DSD:2.8MHz (DSD64) - DoP, native / 5.6 MHz (DSD128) - DoP, native/ 11.2 MHz (DSD256) - DoP, native (I2S out supports all DSD format, S/PDIF supports DSD64 DOP mode)
- Bit width: Maximum 32 bit over I2S output; 24 bit over S/PDIF
とあったので、DSD256のDoPもいけると思ってたけど、やっぱり駄目だった。実は、以前購入したボードでも駄目で、Windows側の何かの問題と見ています。
試しに、DSD Transcoder使って、ネィティブで出そうとすると、さらに低いビットレートでしか扱えない状態になった。このあたり、DSD Transcoderやドライバの問題のように見えるけど、解決の方法がわからない。(憶測)
ちな、XMOSのドライバを、v3.20.0 、v3.34.0にしても、この状況は変わらない。
さらに、音出し(volumio2)
さて、こんなときは、VOLUMIO2。そう、我らのラズパイ。
リファレンス的な再生機としてWindows使いたいけど、いかんせんハイビットレートのDSDに対する扱いがちょうど過渡期な感じで、落ち着かない。
一方、ラズパイ、volumio2の新しいバージョンは、DoPとネイティブの切り替えが、すごくわかりやすくできるようになったので、自分の中ではリファレンス再生機としても、格がだいぶ上がった。
(volumio2のDoP/ネイティブ切り替えの記事は、こちら)
さっそく、ラズパイ3のUSBに接続する。
サクッと「x20」として認識した。で、先のDSD256のデータを再生。
ああ、DoPでもネイティブでも再生できる。volumio2、簡単で、すばらしい。
念のため、DDC側、PCM変換されてきていないかの確認のため、簡易DSDインジケータ(LEDに2Kの抵抗貼っつけて、DSDのピンとGNDに繋ぐ)を追加。
このLEDが青く輝くとき、それはDSD。
と、いうことで、動作確認完了。製品には問題感じない。
ついでにS/PDIFも
前のDDCの記事のとき、SPDIFの動作の質問いただいたのですが、使ってなかったため回答できなかった経緯があり、今回はSPDIFも確認。
普通のビデオケーブルを改造して、同軸(コアキシャル)デジタル用ケーブルを作成。
ケーブルをDDCのSPDIFとGNDに接続、出力先としてフルデジタルアンプ(D802C)に接続。
あっさり仕様上の上限、192KHz/24bitが通った。
このDDCのSPDIFの仕様上で、DSD64の場合のみDoPで流す機能があるらしい。
アンプ側はDoPに対応していないけど、やってみるとアンプの表示はそのとおりデータ不定となり、DSDスーパーインジケーターLEDは青色に輝くので、同軸でDoPが出てるんではないかと思われる。
最後に
いつもは、ユースケース1パターンしか検証しないこと多い(実験より記事にするのがたいへんなので)のですが、今回は思いつくものやりきったと思ってます。
この記事が、どなたかのDIY音楽ライフの足しになれば、うれしい限り。